作品概要 | |
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所在地 | 神奈川県 |
敷地面積 | 100.14㎡ |
床面積 | 92.82㎡ |
建物規模 | 地上3階建て |
構造 | 在来木造 |
2010年4月に「渡辺敦史の建もの探訪」で放送になった住宅です。
敷地は丘陵地の一角にあり、近隣に公園の桜や遠方には遊園地の観覧車も見る事ができる景色の良い場所です。
新規にここを購入したご夫婦は、シンプルでありながら個性的なデザインの住宅を作る事を望んでおられました。ファーストプレゼンテーションでは「おうち」型に大胆な斜めの窓を取り入れた、個性ある住宅を提案。
即日気に入っていただき、早速設計にとりかかりました。
敷地は前面道路から2.5Mほどあがった位置にあります。
建物は駐車場の上の部分も無駄にしないよう、空中にはり出したように配置されていて、白い切妻屋根のボリュームが浮いているかのように見えます。
玄関ドアは木目を生かした黒い塗装の特注品で、上部の外壁と同じ仕上げとし、高さを強調しています。
内部にはウォークインシューズクローゼットになっており、玄関からは白い壁で直接見えないように工夫されています。
また床仕上げは墨を配合したモルタル仕上げ、玄関内部から外のステップまで同じ仕上げで統一しています。
特徴のある斜めの窓は、リーズナブルな工事費用で実現したものです。
斜め窓部分は、はめ殺しガラスとし、水平窓の部分には既製品のアルミサッシュをはめ込んで、窓の開閉ができるようになっています。
斜めの窓の間には建物を支える、「柱」や「梁」「筋交い」に黒の塗装を施し、デザインとして取り込んでいます。
寝室は図書館のような壁一面の本棚をしつらえる事が望まれていました。
そこで、2層分の吹き抜けを設け、その一面を本棚とする事にしましています。
カウンターをもうけることで、書斎コーナーとして機能します。
また部屋の一角には目隠しルーバーで覆われた、インナーバルコニーを設置。近隣に気兼ねなく、ペットのワンちゃんも開け放したバルコニーを楽しむ事ができます。
寝室から階段を上るとロフトのような小部屋へつながります。
ここは物干ベランダへつながる部屋で、趣味室でもあり、アイロンがけの家事室でもあります。
奥はウォークインクローゼットになっており、物干から衣類の収納へと便利な動線計画としています。
浴室には小さな光庭があり、浴室と脱衣室に開放感をもたらしています。
光庭は白い壁で囲われ、隣家の視線が入らないようになっています。そのため、窓を開け放して入浴する事ができ、露天風呂のような爽快感を得る事ができます。
また、入浴後は窓を開けておける事から、湿気の排出に役立ち、カビの発生も防止する事ができます。
階段の踊り場から入る小さな和室です。
細長い間取りですが、大人2人が泊まる事ができるゲストルームとして作りました。
琉球畳とシナ合板の床が和の空間をシンプルに表現しています。
親世帯の寝室です。
階段の途中の踊り場です。スチールの枠に、透明なポリカーボネート板を敷いたものです。
下階の子供室に光を落とす役割と、電球を仕込んだしかけにより照明としても機能します。
不思議な浮遊感があり、楽しい空間体験効果をもたらしています。
ダイニングは白いビニル床タイル仕上げとなっており、ベージュの磁器タイルを貼ったリビングとはスキップフロアとなっています。間の部分は和室へと光を落とす窓になっています。
またこの段差はワンちゃんの隠れ家としても機能するように考えました。
キッチンはオーダーメイドで作りました。
シンクを壁側、コンロをダイニング側とし、大工工事で制作したテーブルをつなげています。
料理を温めながら食べる事ができ、また洗い物など目につけたくないシンク側は壁向きにした配置です。
リビングには特徴的な「斜め窓」が大胆に取り入れられています。
高台から見下ろす景色と遠方の景色、また、プライベートな「空」を、一本の細いガラス窓で楽しめるようにデザインしてあります。
景色を楽しむためにガラス面積を大きくすると、外からも内部が見えすぎ、落ち着いた空間にできません。
しかし、この「斜め窓」は少ないガラス面積で、空から地上方向まで景色を楽しむ事ができ、また、適度な壁の量があり、とても落ち着いた居心地の良い空間を作っています。